文章を書くこと・サイト運営

欲しいのはオンとオフ

昨春、病院勤務から訪問看護に移った友人がもう転職を考えているという。ステーションが二十四時間体制をとっているため、月に五、六回オンコール当番が回ってくる。それが苦痛でたまらないらしい。「いつ呼ばれるかわからないと思ったら、気が休まらない」…

捨てられない理由

伊集院光さんがパーソナリティを務めるラジオ番組で「捨てたもの」というテーマで投稿を募集したところ、「卒業アルバムを捨てた」という便りが一番多かったという。伊集院さんは、「捨てないものだと思い込んでるみたいなところがあって……」と驚いたそうだ…

正しく読む。

ふだんからスマホをあまり使わない私であるが、最近、ちょっとした楽しみを見つけた。漫画アプリで漫画を読むことだ。いま読んでいるのは『ドラゴン桜』。経営破綻状態となった私立龍山高校の運営問題を請け負うことになった弁護士・桜木建二は、学校再建の…

推敲の沼

その記事に三つ目の誤字を見つけたとき、指が自動的にブラウザの閉じるボタンを押していた。ネットニュースを読んでいると、ときどきこういうことがある。どこよりも早くアップしようと、タイトなスケジュールで書かれたのだろう。しかし、文脈から正しい変…

〆切りというもの。

私は作家のエッセイを好んで読む。で、誰のエッセイでもお目にかかるのが「〆切りが迫っているのに、どうしても書けない」という話だ。あるとき、林真理子さんはある有名歌手からヒップホップの作詞を依頼された。「メロディを口ずさめば詞は浮かんでくるだ…

書き手が性別を明かさない理由

ひょんなことから、『鬼滅の刃』の作者が女性であると知った。えっ、あのペンネームで?と驚いて、さっそく漫画好きの同僚に話したところ、「そうだよ。知らなかったの?」とこともなげに言う。「吾峠呼世晴」という名前を見て、「あら、女性なのね」と思う人…

大人がなりたい職業

ショッピングモールのイベント広場に幼稚園児が書いた七夕の短冊がたくさん飾られていた。「アイスクリームになりたい」(「屋さん」が抜けているのかな?)「すみっコぐらしのとんかつになりたい」「いもうとになれますように」幼い子どもの願い事は本当に…

義理読み無用

同僚が休日に京都に行ってきたという。風情のある街並みを散策しながら、「せっかく来たんだから京都らしい店で食べようよ」ということになり、町家造りの小料理屋風の店の暖簾をくぐった。落ちついた雰囲気に「高かったらどうしよう」と話しながらふと見る…

読むために、書く

最近まで就職活動をしていたという大学生と話す機会があった。「内定をもらってなにがうれしいって、心おきなくSNSができるようになったことです」と言う。そっか、就活中はその楽しみも控えてがんばっていたのね……と思ったら。「企業の採用担当者に見られて…

禁断の果実

YOASOBIのキービジュアルを担当するなど人気のイラストレーター、古塔つみさんの複数の作品が“トレパク(トレースによるパクリ)”したものではないかと騒動になっている。古塔さんの個展に行った人が展示・販売されている作品の中に海外の有名写真家やアーテ…

好きこそものの……

ある作家のエッセイを読んでいたら、自身のブログについての話があった。ひと月のアクセス数が三百万を記録したとある。パソコンが苦手で、これまでも人に勧められて何度かwebサイトをつくったもののつづかなかったはず。でも、今回のブログは順調に更新して…

ばっちりメイクの文章

昼の休憩室で、「この一年、化粧品をまったく買っていない」とあるスタッフが言ったら、同意の声が相次いだ。「最低限の化粧しかしないから、ほんと化粧品代がかからなくなったね」「防護服着なきゃならないうちはまともに化粧なんかできないよ。汗でどろど…

日記サイトの寿命② ~それをしがらみにしないために~

※ 「日記サイトの寿命② ~二年の壁~」のつづきです。もうひとつの理由は、「人間関係」だ。日記書きの友人が「どのくらいの人が自分の文章をちゃんと読んでくれているか知りたい」と、めずらしいカウンタをブログに取りつけたことがある。一定の時間が経過…

日記サイトの寿命① ~二年の壁~

長くサイトをつづけていると、懐かしい人からメールが届くことがある。先日、「ご無沙汰しております」と連絡をくれた読み手の方とは十五年ぶりである。最後に話してからそんなに時が経っていたのか、とびっくりしてしまう。実生活が忙しくしばらく日記読み…

誰のためにも書かない。

同僚が重そうな紙袋をいくつも抱えて出勤したと思ったら、ハイと私に差し出した。中には漫画の単行本がどっさり。彼女は最近、これを大人買いしたという。せっかくの夏季休暇にどこにも行けない、誰にも会えない。ならばステイホームを堪能しようと、中学生…

それは私の文章です。

※ 「盗まれたレシピ」のつづきです。 ある日、「お気を悪くされたら申し訳ありません」という件名のメールが届いた。うちのサイトに長く通ってくださっている方からで、冒頭に「お伝えすべきかどうか大変迷ったのですが……」とある。なんだろう?と思ったら。…

盗まれたレシピ

料理コンテンツのサイトを運営している友人がいる。クックパッドや楽天レシピなど、一般の人がレシピを投稿できるサイトはいくらでもあって、「フライパンひとつで」「レンジでチンするだけ」「二人分ワンコイン」など手軽さをアピールしたレシピがあふれて…

個人出版という選択

※ 前回の日記「自費出版と自己満足」のつづきです。 「あなたの原稿を本にします」という電車の中吊り広告を見て出版社に話を聞きに行ったら、想像していた金額の何倍もの費用がかかるとわかり、あきらめて帰ってきた……という話を日記サイトに書いたところ、…

自費出版と自己満足

最近、自費出版がちょっとしたブームらしい。外出が減ったことで執筆の時間を持てるようになり、本にしてみようと考える人が増えた、とニュース番組の中でやっていた。出版件数はコロナ禍前の三割増だそうだ。小説でも俳句でもイラストでも写真でも、出来は…

古巣に戻る

ふと思い立ってフェイスブックにログインしたら、懐かしい人から友達リクエストが届いていた。大学時代のサークルの後輩である。気づくのが遅れたことを詫び、メッセンジャーで近況を報告し合う。フェイスブックをしているとこんなふうに昔の友人・知人と思…

マイルール

隣のテーブルで、大学生風の女子グループの会話がエキサイトしている。「こっちはもう支払い済ませてるんやから、さっさと品物送って来いって話よ」「メルカリで『即購入禁止』って意味わからん」「事務局に通報したり。『購入手続きしたのに、勝手にマイル…