注文した料理に髪の毛が入っていたら。

同僚が夫婦で焼肉を食べに行ったときのこと。男性店員が一度に三枚の大皿を運んでくるのを上手に持つなあと眺めていたら、突然彼が「……へっぶしッ!!」。豪快なくしゃみをしたのだ。両腕に絶妙なバランスで皿を載せていたから、彼は口を押さえることはもち…

0.000017%の“もしも”

昼の休憩室で、同僚が「お休みありがとうございました」と言いながら、ちんすこうを配り始めた。「へえ、沖縄行ってきたんだ。飛行機で?」と誰かが言い、「もちろん。飛行機じゃなくてどうやって行くのよ」と笑い声が起こった。すると、「私は飛行機だめな…

ペットの一生を見届けるということ。

同僚から「明日の夜勤を代わってほしい」と連絡があったのが四日前。老衰で寝たきりの犬がいよいよだと思う、そのときそばにいてやりたいということだった。「五連勤になってしまって申し訳ない。けど、ペットを飼っていない人にはお願いしづらくて……」と恐…

学歴に勝るもの

次のバスまで二十分。ちょっと涼ませてもらおうと近くにあった書店に入ったら、平台に積まれた爽やかなブルーの表紙が目に留まった。あ、この『17歳のときに知りたかった受験のこと、人生のこと。』って少し前に話題になっていたよね。すごく売れていて、入…

書いたのはあなたですか、それともAIですか

娘が通う高校には「総合的な探究の時間」という必修科目がある。自分で選んだ課題について調査研究を行い、まとめたものを発表する探究学習である。三月に論文の最終提出があったのだが、それが昨日返ってきたらしい。「すごくよくできてたって言われたよ」…

女子高生のスカート丈についての一考察

学校から帰ってきた高校生の娘を見て……あれ?「朝行く時とスカートの長さが違う気がするんだけど」「気のせいじゃない?」ととぼけていたが、ブレザーを脱いだらやっぱりスカートを腰のところで折り曲げていた。私服だったら膝が丸見えでもなんとも思わない…

友達づくりで悩んでいるあなたへ

息子の高校の入学式後、クラスに分かれてPTA役員を選出することになった。立候補ですんなり決まり、ありがたいなあと思っていたら、その方があいさつでこう言った。「私がクラスにお知り合いを増やすことで内気な娘がなじみやすくなるかもしれないと思って、…

受験生の親ができること。

TikTokを見ていたら、大学の合格発表をスマホで見る瞬間を録った動画が流れてきた。震える指で合格者の受験番号が掲載されているページに飛ぶボタンを押す。数秒間の静寂の後、「よっしゃー!!」。固唾を呑んで見守っていた友人たちも大興奮で、私も思わず…

彼女のバッグを持つ男性

一月三日は夜勤の明け。帰りに寄った百貨店は初売りセール目当ての客で大にぎわいだった。福袋を買っている人もたくさんいて、こちらまで気分が上がる。さて、財布を新調しようかなあと売場を見ていたら、隣にいた若い男性がピンク色のハンドバッグを手に提…

失くしちゃいけないもの。忘れちゃいけないこと。

「バッカじゃないの!」読みながら、思わず乱暴な言葉が飛び出した。東京美容外科の女性医師によるSNSへの不適切投稿についての記事である。 解剖研修のためにグアム大学入りするときの動画には、「いざFresh cadaver(新鮮な御遺体)解剖しに行きます!!」…

お箸の国の人だもの。

「このあいだ、〇〇でごはん食べてたでしょ」職場のエレベーターで一緒になった理学療法士さんに言われた。たしかに一週間前、その店でお昼を食べたけど……もしかしていたの?「だったら声かけてくれたらよかったのに!」「だって、休みの日に仕事場の人間に…

うちの食卓にあって、サザエさんちの食卓にはないもの。

長谷川町子美術館 https://www.hasegawamachiko.jp/ 「昨日入ってきた○○号室の△△さん、あの人苦手やわあ」休憩室で同僚が言う。昼食中の様子を見に行ったらコップのお茶が手つかずだったため、「水分もとってくださいね」と声をかけた。すると、「食事中にお…

心付けのジレンマ

読売新聞夕刊の「小町Vote」欄に、旅館で心付けを渡すか渡さないかを問うたアンケートの結果が載っていた。ふと思い出したのは、友人が温泉旅館に泊まったときの話。部屋に案内してくれた年配の仲居さんに心付けを渡したのだが、その女性の顔を見たのはその…

資格を肩書きにするということ。

「ドクターハリー、ドクターハリー、三階南病棟××号室までお願いします」明日のオペの準備をしていたら、アナウンスが流れた。針井という名前のドクターを呼び出しているわけではない。これはハリーコールといって、院内で患者の急変などの緊急事態が起きた…

ペットの「もしも」に備えていますか?

「夏のボーナスが飛んで行っちゃった」と同僚が言う。なにを買ったのと訊いたら、飼っているビーグルが椎間板ヘルニアの手術をしたのだという。「だってMRIが九万なんだよ。検査だけで十五万、それに手術と入院でしょ……。明細見てめまいがしたわ」すると、「…

子どもに大学に行ってほしい理由

友人が高校三年生の息子のことで頭を抱えている。進学希望なのに、いまだに志望校の目星もつけていないという。三者面談で興味のある学部も言えず、あきれられたらしい。「一日中スマホ触ってんのに、どこにどんな大学があるかとかオープンキャンパスの日程…

「野良猫に餌をやらないで」にもやもやする理由

植え込みの中で倒れている子猫を見つけ、病院に連れて行ったという話を同僚から一週間ほど前に聞いていた。彼女とシフトがすれ違い、その後どうなったんだろうと気になっていたのだが、昨日ようやく続報が届いた。低血糖症との診断で入院となったのであるが…

家の近くにあって欲しくない施設

家探しをしている同僚が、夫と意見が合わず困っているという。半年かかってようやく心ときめく物件に出会えたと思ったのに、夫が首を縦に振らない。「葬儀場のそばなんて縁起が悪い。霊柩車なんか見たくないし、あそこに死んだ人が……と思ったら薄気味悪いよ…

同窓会と大人の分別

夜勤で一緒になった同僚がインスタントのスープはるさめを食べていた。夕食はそれだけだという。「お弁当忘れたん?私、非常食持ってるよ」「ちゃうねん、いま節制中やねん」今月中に二キロ落としたいのだが、同居している親にバレないよう職場での食事を減…

食べたことがない名物料理と幻のふぐ体験

職場の休憩室に東京土産のお菓子が置いてあった。同僚が連休をとって旅行に行ってきたという。「東京って意外と行く機会なくて、おのぼりさんしてあちこち観光してきたわ。月島で初もんじゃもしてきたで」すると、すかさず「どんな味やった?見た目通り?」…

青春ソングと遠い日のあの場所

大学時代の友人と焼き肉を食べに行ったら、懐かしい歌が流れていた。思わず顔を見合わせ、同時に「恋心!」と叫んだ。店のBGMは九十年代のヒット曲メドレーだったらしく、そのあとも「決戦は金曜日」「裸足の女神」「ロマンスの神様」「EZ DO DANCE」とつづ…

「『いただきます』はいらない」について考えた

毎週土曜日の読売新聞夕刊に「もったいない語辞典」というコーナーがある。著名人が「使われなくなるのはもったいない言葉」を取り上げるリレー形式のコラムなのだが、昨日のそれは元NHKアナウンサーの村上信夫さんが「いただきます」について書いていた。 …

「結婚は○○だ」の○○に言葉を入れるとしたら。

ばたばたしていて、昼休みに入るのが三十分遅れた……のはいいのだが、休憩室のドアを開けて、しまったと思った。先輩のA子さんがまた「オッサン、オッサン」と連呼している。オッサンとは彼女の夫のこと。彼がいかに不快でストレスを与えてくる存在であるかを…

欲しいのはオンとオフ

昨春、病院勤務から訪問看護に移った友人がもう転職を考えているという。ステーションが二十四時間体制をとっているため、月に五、六回オンコール当番が回ってくる。それが苦痛でたまらないらしい。「いつ呼ばれるかわからないと思ったら、気が休まらない」…

画像はイメージです。実際とは異なる場合がございます。

仕事帰り、娘からLINEが入った。返事を打とうとして、彼女のアイコンが変わっているのに気がついた。うちにいる猫の横顔だったのがいつのまにか自撮り写真になっている。「えっ、顔出しはあかんやろ!」思わずつぶやいて……あれ?よく見たら顔が違う。娘のア…

三十年目の気づき

しゃくりあげる自分の声で目が覚めた。枕の冷たい感触で現実に戻ったあとも、涙はしばらく止まらなかった。夢の中でも置いて行かれるのは私なのね。なぜ唐突に彼の夢を見たのか、理由はわかっている。フェイスブックでつながっている共通の知人から新年のあ…

捨てられない理由

伊集院光さんがパーソナリティを務めるラジオ番組で「捨てたもの」というテーマで投稿を募集したところ、「卒業アルバムを捨てた」という便りが一番多かったという。伊集院さんは、「捨てないものだと思い込んでるみたいなところがあって……」と驚いたそうだ…

LINEの返信が遅れる理由

バスに乗っていたら、後ろの人の会話が聞こえてきた。「秒で返したのに既読がつかないってどういうこと?自分が送信した瞬間にトーク画面を閉じてるわけ?」「いるよねー、いまのいままで携帯触ってたのになぜか一時間も二時間も未読のままになる人。ぜった…

「人生の失敗」と離婚観

めずらしく定時上がりできた夜勤明け、バスを降りて時計を見たら十時二十分。「あら、まだこんな時間」とうれしくなり、マクドナルドで朝マックをすることにした。若い女性三人組の隣に座ったら、先日再婚を発表したタレントの新山千春さんの話で盛り上がっ…

カバンの中の「そんなもの」

以前から不思議に思っていた。彼女とは夜勤入りのときにロッカールームでよく会うのだが、いつも「いったい何泊するの?」と訊きたくなるくらい大荷物なのだ。その日も私のトートバッグの三倍はあるスポーツバッグをかついで病棟に上がろうとしていたので、…